粉体塗料とは顔料、硬化剤、添加剤、樹脂、フィラーなどを細かく粉砕してパウダー状にした塗料であり、この粉体塗料を直接被塗物(金属など)に吹き付け、コーティングすることを粉体塗装といいます。溶剤塗装が顔料をシンナーなどの溶剤に溶かして塗布するのに対し、粉体塗装は静電気を利用して塗料を被塗物に付着させ、乾燥炉で加熱することで塗膜をつくり、塗装を行います。溶剤塗装に比べ、環境汚染、健康被害、火災等のリスクを軽減し、優れた防錆能力やコスト削減を実現してくれることから、近年の塗装方法として注目を集めています。
粉体塗装の5つの特徴
1. 過酷な環境にも耐えられる強力な塗膜
粉体塗装は一度の塗装で最大150ミクロンにおよぶ塗膜を形成することができます。これは一般的な溶剤と比較すると、4~5倍程度の厚みに相当します。さらに塗膜自体の強度が極めて高いため、キズがつきにくく、耐熱性・耐油性にも優れています。そのため、自動車部品、ガードレール、スチール家具、エクステリア用品など、過酷な使用状況を予想される製品に多く利用されています。
2. ひび割れや剥離の少ない柔軟性
粉体塗装は強度だけでなく、柔軟性が高いという特徴もあります。溶剤塗装の場合、屋外などの温度差の激しい環境では塗膜がひび割れたり、剥離してしまうことがあります。その点、柔軟性の高い粉体塗装ではひび割れ等の問題が発生しづらく、寿命が長いという特性があるのです。
3. 「さび止め塗料」の名にふさわしい優れた防錆能力
粉体塗装はもともと「さび止め塗料」として普及しました。粉体塗装は塗膜が厚く、ピンホール(塗面に生じる小さな穴)が少ないため、被塗物が空気に触れにくく、錆びにくいという特徴があります。そのため、ガードレールやエクステリアといった屋外の製品にも対応できるというメリットがあります。
4. 環境・健康にやさしい次世代塗料
粉体塗料は、環境汚染の原因となるVOC(揮発性有機化合物)を一切配合していません。また溶剤を含んでいないため、シックハウス症候群などの健康被害が発生しづらく、引火リスクが少ないという特徴があります。さらに作業工程におけるCO2の排出量が少なく、塗料の再利用が可能であったることから、環境にも人体にも優しい次世代のエコ塗装といえるのです。
5. 極めて高いコストパフォーマンス
耐久度、防錆能力が高いことから、再塗装の可能性が激減し、ランニングコストの削減が可能になります。 塗料の回収再利用ができることからロスが少なかったり、塗装ラインの小型化、自動化が容易なことから、塗装業者にとってのコストメリットも高く、結果的に安価な料金体系を実現することができるのです。