カチオン電着塗装とは電着塗装の一種であり、水溶性の電着塗料のなかに被塗物を浸漬させ、直接電流をかけることで塗料を付着させる塗装方法です。カチオン電着塗装でコーティングをした場合、被塗物が複雑な形状であってもピンホール(塗面に生じる小さな穴)がなく均一で密着性の高い塗膜が形成されるため、極めて高い防錆性能を誇ります。また、ほかの塗装方法に比べて色ムラやごみの付着、塗料のたれ等が非常に少なく、良質の塗装ができるという特徴もあります。 なお水溶性塗料であるため、VOCの発生が少ないという点から、環境にやさしい塗装方法としても注目を集めています。
カチオン電着塗装の5つの特徴
1.高い防錆能力を誇る塗装工法
カチオン電着塗装の場合、被塗物に対して均一に塗料が付着し、ピンホールが生じづらいという特徴があります。また塗膜の密着性も高く、被塗物が空気に触れにくいため、金属本体が錆び難くなります。
2.複雑な形状でも塗りムラの心配がない
カチオン電着塗装では被塗物がどれほど複雑な形状であっても、均一に塗料が付着するため、完成品に塗りムラが起きません。またゴミが付着し難く、液ダレも少ないため、高品質な塗装を実現できます。
3.均一な膜厚を確保
カチオン電着塗装は電気的な制御(印加電圧/処理時間)により、塗膜を一定に保つことが出来ます。これは設定膜厚まで到達すると塗膜自体が電気抵抗になり、塗膜の析出反応が停止するためです。膜厚は15~50umまでの製品対応実績があります。
4.塗料の塗着効率が高い
通常のスプレー塗装は塗着効率が20~30%程度になりますが、カチオン電着塗装はUF閉回路水洗システムにより塗料を回収出来ることから、塗着効率は約95%と塗料のロスが非常に少ない塗装工法といえます。
5.環境にやさしい水溶性塗料
カチオン電着塗装は水溶性塗料を使用しており、大気汚染の要因であるVOC (揮発性有機化合物)の発生が少なく、環境にやさしい塗装方法といえます。