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塗装業界について知識のある方は、もしかするとこの業界の将来に不安を抱いているかもしれません。確かに、メーカー工場の海外進出にともない、2002年から比較すると製造品出荷額は20%以上、事業所数も12%以上も減少しています。塗料の生産量についても、2006年をピークに下り坂を続けており、回復の兆しは一向に見えません。これだけのデータを提示されてしまえば、幸先に不安を抱えても仕方がないでしょう。
しかし、ヒバラコーポレーションにかぎってみれば、小田倉久視の社長就任以来、22年間で年商を4倍に成長させています。日本中のほとんどすべての塗装会社が成長はおろか、利益を上げることすら困難である状況において、順調に売り上げ・利益を伸ばしているヒバラコーポレーションは、きわめて稀有な存在といえるでしょう。
そして、ヒバラコーポレーションの成長の理由はもちろん数多くありますが、なかでも重要な役割を果たしてくれたのが、「ITの導入」です。
塗装業界にとって、ITは無縁な存在でした。あるいは現在でさえ、完全なIT化を遂げた塗装会社はほとんどありません。そのような中で、ヒバラコーポレーションはいち早くITの導入に取り組みました。
ヒバラコーポレーションにおけるITの活用とは、主に「技術のデータ化」と「生産管理」にあります。これまでの塗装業は技能者の経験だけを頼りにしてきたこともあり、技術の「再現」ができず、常に品質の不安定化に悩まされてきました。また、そのような技術は継承も困難であり、ベテランの不足や若手の育成にも大きな課題を抱えていたのです。
そこでヒバラコーポレーションは、職人の技術をすべてデータ化し、塗装プロセスデータとして蓄積していくことにしました。このプロジェクトにより、40年に及ぶ塗装技術のすべてをデータ化、分析、再現することに成功し、実現不可能といわれた「品質の安定化」を達成したのです。
また、同じくITを利用し、塗装にかかわるすべての作業をデータにより「見える化」することで、コストダウン、誤発注・誤入力の防止、管理に携わる時間の削減にも成功。
このような「ITと塗装業の融合」は、のちに「革命」と評価されるほどの型破りな挑戦でもありました。しかし、だれも挑戦しなかった、あるいは考えもしなかったITの導入と活用を実現したことで、ヒバラコーポレーションは他社には到底真似ることのできない唯一無二の地位を確立することができたのです。
IT導入の背景には、「3K(きけん・きたない・きつい)から脱出したい、3Kと呼ばれたくない」という小田倉の願いも含まれていました。小田倉は若かりし頃、実は塗装業が好きではなかったと語っています。しかしある日のこと、就職が決まっていた新入社員の親御さんから、3Kを理由に退職させてほしいといわれてしまい、ひどくショックを受けたそうです。3Kが当たり前の塗装業界を変えるには、ITを導入するしかない。その瞬間、小田倉は「次世代の塗装業」を実現することを決意したのです。
ITの導入に伴い、データによる技術の継承や若手の育成が可能となり、さらに危険な業務の自動化や、”見える化”による業務の効率性が追及されることで、職場環境は一変。もはや3Kの面影はなく、ヒバラコーポレーションの工場に足を運べば、タブレットを片手に業務にあたる作業員や、テレビモニターを通じて東京のスタッフと会議をするという21世紀的な光景を目にすることができるはずです。
塗装業にありがちな「常識」を抱えている方は、少なくともヒバラコーポレーションを訪問する際は、その常識を捨て去ってもらって問題ありません。
塗装業には(あるいは工業全般に言えることですが) 、絶対に越えられない壁があることをご存知でしょうか?それは「距離」の壁です。工業塗装は一般的に自社工場から半径数キロ以内を商圏としているため、いわば限られたパイを同業他社と争奪することを余儀なくされるのです。その結果、過度な価格競争を招き、赤字が常態化しているのが工業塗装の現状でした。
しかし、ITの導入したヒバラコーポレーションは、いち早くこの波から脱出する手段を見出します。それが日本初となる「コンサルティング型工業塗装業」の創出です。
さらに近年では、「コンサルティング型工業塗装」の一環として、塗装業界としては異例中の異例である県外メーカーの塗装コンサルティングを開始。ヒバラコーポレーションのノウハウを求め、広くは東北や中国地方にまで顧客を抱えるようになり、ますますその勢力を伸ばしつつあります。ITが距離の壁を超える以上、今後は日本全国はもちろんのこと、世界中日本の製造メーカーの多くは、自前の塗装部門をもっています。しかしながら塗装部門のほとんどは10名前後の人員がいるばかりで、資金がなく、技術力や人材が完全に不足し、製造ラインにおいてボトルネック化しているのが現状です。
そこでヒバラコーポレーションは、自社を成功に導いた「40年分の塗装ノウハウ」をそれらメーカーに提供するという新たなビジネスに舵を切ったのです。これはメーカーの現状をデータと照らし合わせ、より安価で効率的かつ品質の安定化を図ることのできる技術を提案し、ITを通じて生産管理を行うというコンサルティング事業であり、日本全国の衰退する製造メーカーにヒバラの血を流し込んで再生させるという前代未聞のプロジェクトでした。
当然、このような圏域外のビジネス戦略自体が塗装業界としては異例中の異例でしたが、塗装技術のデータ化に成功したヒバラコーポレーションにとっては、当然の帰結であったかもしれません。コンサルティング型工業塗装は瞬く間に話題を呼び、近年ではヒバラコーポレーションのノウハウを求め、広くは東北や中国地方にまで顧客を抱えるようになり、ますますその勢力を伸ばしつつあります。
そして、ITが距離の壁を超える以上、今後は日本全国はもちろんのこと、世界中の工場がヒバラコーポレーションの潜在顧客となります。塗装業界が尻すぼみの状況下にある中、ヒバラコーポレーションはほとんど唯一、無限の可能性を有する企業といえるのです。
日刊工業新聞で東海村を代表しての座談会の様子が掲載されました
ペイント&コーディングジャーナルに掲載されました
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